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2015年8月19日水曜日

逆紹介ってなんだ

近所のクリニックで診察してもらって、なにか難しい病気がありそうだ、
となると、大きい病院を紹介してもらいます。
これが普通の「紹介」です。
ですから「逆紹介」はその逆、ということになります。
大きい病院で適切な治療をうけて改善した患者さんを、
地域のかかりつけ医に医療情報と一緒にその患者さんの後の治療を
お願いする、というものです。

なぜ逆紹介が必要なのでしょう。
私のブログに数日前に書いた記事で、大きい病院の実情をお話しました。
関連記事:かかりつけ医ってなんだ
http://unyunenemama.blogspot.jp/2015/08/blog-post.html

逆紹介、という言葉を私は知りませんでした。
私が通っていた大きい病院の副院長先生が、ほかの病院に移っていることを知って、
ネットで探したら、ある病院で院長をしていたのです。
その先生のあいさつ文に、逆紹介ということばがあり、ここで初めて知ったのです。
この先生は、副院長をしている時に、この病院が老人病院と化している現状を、
憂えていたのかもしれません。

私の通っていた大きい病院は、最先端医療を担う病院でありながら、
その実、一度診察した患者がずっと通い続ける上に、
ほかの科にもかかりまくるので、
新しい患者が予約を入れると、2ヶ月先と言われるのです。
ですから、患者のほとんどが60才以上です。
頭の黒い人はあまりみかけません。

実は私も、呼吸器内科のほかに、耳鼻科と脳外科と口腔外科に
カルテがあります。
耳鼻科は救急車で入院した時のもので、突発性難聴は、脳腫瘍でおこる時があるので、
脳外科にもかかったのです。
呼吸器内科にかかっていなかったら、この病院には入院できなかったでしょう。

副院長だった先生は挨拶文の中で、
http://www.ebara-hp.ota.tokyo.jp/gaiyou/aisatu.html
「新たな病気でこの病院を受診されるときには、地域の病院で新たな紹介状を
 書いていただいてください」ということを言っています。
大きい病院の患者さんには
「ちょっと胃が痛いんだけど、ついでに内科にかかれないかしら」
という患者さんが多いのです。
本来なら、ちょっと胃が痛い程度で、高度先端医療は必要ないのですから、
これは地域の病院で診てもらうべきものです。
でも大きい病院では、こういう患者さんも診ています。
だからがんかもしれない、という紹介状があっても、
診察は2ヶ月先、と言われてしまうのです。

そして挨拶文では「紹介目的を達成した後は、病院からかかりつけ医への
逆紹介が欠かせません」と書いています。
逆紹介をして、元気になった患者さんには地域の病院に帰っていただかないと、
大きい病院のようになってしまうと思ったのでしょうか。

こちらの日赤病院の逆紹介の説明サイトは、本当に切実な内容になっています。
http://www.suwa.jrc.or.jp/0300063.html
このままではうちの病院はパンクしてしまいます、
お願いだから、症状の落ち着いた患者さんは、地域の病院で診てもらってください、
という内容です。

厚生労働省では、医療法施行規則を改正して、逆紹介率を上げるように要請しています。
http://www.pref.okayama.jp/hoken/hohuku/tuuchi/iryouiji140416-4.pdf

さらに聞きなれないことば「二人主治医」という制度もあるそうです。
http://www.noto-hospital.nanao.ishikawa.jp/?p=160
大きい病院の先生と、地域のかかりつけ医が互いに連携しながら、
共同で継続的に治療を行うことです。
ここにはこう書かれています「2人の医師に診てもらえるのでより安心」
なにこの贅沢者。
この制度も厚労省の医療の機能分化という方針に沿ったものだそうです。

東京の大学病院は「3時間待ちの3分診察」などと言われるほどですから、
逆紹介と、二人主治医の制度がもっと知られて、
多くの患者さんに普及することで、
大きい病院の診察がスムーズになって沢山の人が恩恵をうけるようになればいいな、
と思います。

さて私は今二人主治医の状態なのですが、
それで転院騒動になったわけです。
大きい病院の先生が「風邪だったら近所の病院で診てもらって」と言うのは、
こういうことだったのかな、とやっとわかったような気がします。
でも、今までの病状を何もしらない先生に診てもらっても、
患者も病院も困惑するだけですから、こういうことなら、ちゃんと連携しておいてくださいね。

2 件のコメント:

そその さんのコメント...

初めまして私も肺マック症の大学病院利用者です。いつもブログ参考にさせていただいております。情報量の多さに驚いています。私は今のところ症状はなしなので投薬もなし3か月に1度2時間かけて通院しています。高血圧、糖尿などは近所の医院でかかり呼吸器内科だけは検査もあるので大学病院にかかっております。これからも色々なお話を参考にさせていただきます。情報交換も大切な診療だと最近この病気になり理解しました。お互いに頑張りましよう。

ハッピーのママ さんのコメント...

コメントありがとうございます。
それから、読んでいただいてありがとうございます。
すごく褒めていただいて、身分不相応なほどに褒めていただいております。
症状がなくてよかったですね、
私を診てくれている先生は「ずっとなんともなければラッキー」と言っていました。
そそのさんは、ラッキーな人ですね。
この病気に限らず、知っていれば悪くしなくてすむ、ということってありますよね
私も悪くしないようにがんばります。
以前は病気について知りたくてよく調べていたのですが、
最近は思いつきで書くことが多くて、
よく3年も書いているものだ、と思っています。
また面白い話があったら書いていきたいと思っています。
暑いので、そそのさんもお元気で。