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2018年8月10日金曜日

認知症に見えない人

認知症の人を見分けるのは難しいです。
始めは普通の人だと思っていた人が認知症だった、
ということが多く、結果、老人ホームの人のほとんどが普通ではなかった、
というかんじです。
厚労省の調査でも、介護をうけている老人の半数は認知症の影響がでていて、
施設の老人では8割が認知症の疑いがあるそうです。

なぜ見分けがつかいないのか、というと、
しゃべり方はおかしくないのです。たとえば、
「あの、すいません、私今日はなにも食べていないので、
 おなかすいてしまったのですけど、何か食べる物はないかしら」
と言うお婆さん。
この人は1時間前に昼食を食べたばかり、もちろん朝食も完食しています。
こういう人には「あと30分でお食事が用意できます」と言うのです。
もちろん食事の用意なんてありません。
でも大丈夫。
5分後には今の会話をすっかり忘れています。

また、「ここには、変なこと言う人が多いわね」と言うお婆さん。
確かに、この人の隣は認知症の人が座っています。
私はこの人も最初はまともなのかと思っていました。
「私は都営住宅に住んでいて、なんでも自分でできるのに、
 なんでこんな所に来てるのかしら」と言います。
しかし、この人は老人ホームに住んでいます。

私は認知症の人は、見ればわかるのかと思っていたので、
普通の人のように話す認知症患者に驚きました。
かなり重度の認知症でも、一見普通の人のように話ができるのです。
しかし、毎日「私ここは初めてだから、よくわからなくてね」
と言います。

かなり重度になると、どうやって立ち上がるのか、
どうやって歩くのかも忘れてしまいます。
本当に哀れなものです。

60歳以上の人と接する時は、一応認知症を頭に入れておくといいと思います。
認知症の人も普通に会話ができるのです。
真面目に話を聞いていたら、全部嘘だった、
なんてことになりかねません。
老人ホームの人は、みんな認知症だと思っていれば間違いないです。

私は介護の資格をとる勉強をしているのですが。
その中に、認知症と診断された家族の心理の変化、というのがあります。
第一期・・・医師から認知症の診断をされた時
      ショック、戸惑い、不安から「この人は認知症ではない」
      と認知症の事実を否定する
第二期・・・ある程度落ち着いて今の状況を見つめることができるようになる。
      しかしまだ混乱していて、認知症を認めたくない。
      今後の事を考えはじめる
第三期・・・医師の診断を受け入れ、あきらめ、現実を受け入れる。
      なんとか介護しなければ、と意欲がわく。
第四期・・・認知症という現実を積極的に受け止めようとする。
      認知症の正しい知識を得て、適切な対応を工夫するようになる。

認知症を家で介護したら、それはそれは大変なことだと思います。
暴れるような症状だと、精神科の施設に入院させるしかありません。
鍵のかかった病室があり、ある程度の拘束ができるのは、
今ではそこしかないからです。
今は法律で、ベッドにつないだり、つなぎを着せたり、
部屋の外から鍵をかけることも虐待になるのでできません。
この法律のせいで、行き場のなくなった老人も多いことでしょう。

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