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2016年1月24日日曜日

アメリカで呼吸器疾患のための抗生物質の使用について

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)とCPA(米国内科学会)は
一般的な呼吸器疾患、風邪、気管支炎、咽頭痛、副鼻腔炎などで、
抗生物質を使う際の薬の処方の指針を発表した。
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2016/01/acp-cdc-advise-antibiotic-use-respiratory-conditions
これは抗生物質の耐性菌ができないようにするためです。

アメリカでは毎年一億人に抗生物質が投与されていますが、
そのうちの41%が急性気道感染症で、耐性菌を作る原因になっています。
その抗生物質の使用は不適切であって、
毎年30億ドルが無駄になっている。

この指針で大事なことは、抗生物質は風邪を治すものではなく、
かえって副作用をおこすことがある、ということを患者に伝えることです。
この方法によって抗生物質の乱用をなくすことができます。
そして医療費の削減もできる。

医師が肺炎を疑うのでなければ、合併症のない風邪に
抗生物質を処方することは間違いです。
症状を緩和させるために、鎮咳薬、去痰薬、抗ヒスタミン薬などを処方するべきです。
また、細菌による感染症であっても、抗生物質で治療しなくてもすむ場合があります。
抗生物質は、10日以上続く熱や重篤な症状を有する患者のために、
残しておく必要があります。

日本でも、厚労省でこういう指針を作って、医師会と協議してもらいたいです。
そして、こういう本当の情報を、もっとマスコミで伝えるべきです。
そして、病院でも、風邪を治す薬がない、ということを、何度も患者に言うべきです。
薬さえ出せば安心するような人に、教えてあげるべきです。
そういう事があって、はじめて、抗生物質の乱用を防止することが
できるのです。

しかし現実は、どうでもいい薬をたくさん出す病院がすごく混んでいて、
本当にいい先生なのに、かぜぐらいでは、ほとんど薬を出さない先生の
病院は、患者が少ない、ということになっています。
きっと、井戸端会議で、病院の噂が出た時に、なにも知らない人が
「あそこの病院は薬をだしてくれないからダメだ」とか言うのでしょう。
特に小児科では、親が心配のあまり、薬を欲しがりますよね。
うちでも、子どもが毎日39度の熱が下がらなかった時には、
ウイルス性の熱だから抗生物質は効かない、と言われても、心配でしたもの。
この先生は東大を出て、大きい病院で部長をしていたのに、
待合室には、そんなことはどこにも書いていないのです。
先生に「患者さんにわかるように書いておけばいいのに」と言ったことがあります。

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