Translate

2016年2月11日木曜日

医薬分業ってなんだ

病院で処方箋をもらって、外の薬局で薬をもらうこと。
なんだ、誰でも知ってる。
ところが、今さら、この議論がバトルになっている。
この制度をすすめたい厚労省vs制度の見直しを求める政府規制改革会議だ。
http://www.sankei.com/premium/news/150401/prm1504010006-n1.html

確かに具合が悪い時に、外に出てまた薬局で待たされるのはしんどい。
雨の日に子どもを連れて薬局に行くのは面倒だ。
しかし、議論の争点はそんなことではない。

外の薬局で薬をもらわなければいけないのには、理由がある。
それは、厚労省が、病院と薬局を同じ建物内、敷地内にあることを禁止しているからだ。
一度公道(道)に出た後に、薬局で薬をもらわなければいけない、
という規制をしてきた。
しかし先月、この規制が見直された。
http://www.sankei.com/life/news/160131/lif1601310045-n1.html

では、そもそもなんで病院と薬局を分離したのか。
それは薬局の独立性を高めるため。
医師による薬の過剰投与をなくすためだ。
外部の薬剤師にチェックしてもらうことを目的にしている。
病院から給料をもらっている薬剤師では、医師の言いなりになって、いらない薬を出して、
患者を薬漬けにしてしまう、ということのようだ。
それは、病院が薬を出せば出すほど儲かる「薬価差益」というものがあるからだ。
さらに、薬の飲み残しは、年間500億円とも言われている。
薬剤師に薬の無駄をなくしてもらうのが目的でもある。

大きい病院の前にはたくさんの薬局があるが、
これを「門前薬局」と呼ぶらしい。
厚労省は、院内薬局より、門前薬局の方が高い報酬をもらえるような制度も作った。
その結果、薬局の数はコンビニと同じくらいにまで増えた。
先日千駄木の日医大にかかった時は、
近くの「アリス薬局」で薬をもらった。
この薬局は、家具がアンティーク調で店内がかわいいのと、
店内で飲めるお茶がルイボスティーだったのでこの薬局を選んだ。
それに病院に近いほど混んでいる、待つのは嫌だからね。
つまり、薬局なんてどこでもいいのだ。

さて、ここで問題なのは、院外処方は高い、という事実だ。
院外では、調剤基本料410円、薬剤服用暦管理指導料410円がかかる。
つまり患者は負担が増える、お金がかかるということだ。
このお金を払うことでメリットがあれば、文句を言わないかもしれない。
しかし、違う病院に行くたびに、薬局も違うのだから、
自分の服薬履歴を完璧に管理してもらっているわけでもない。
つまりほとんどメリットはない。

そこで昨日のニュースになる。
ひとりの人が飲んでいる薬を、全て処方してくれて、
その人の薬の記録を全て持っていて、その人に適切なアドバイスをしてくれる薬局。
「かかりつけ薬局」を推進しよう、という。
ひとつの薬局で薬をもらうようにすれば、同じ薬を(胃の薬のように)重複してもらったり、
飲み残しを出すことを防げるので、医療費の削減になる。
さらに病院も「かかりつけ」にすることで、ひとりの医師に長期にわたって
健康状態を把握してもらい、薬の重複もなくすことを目的にしている。
http://www.sankei.com/life/news/160210/lif1602100021-n1.html

この「かかりつけ薬局」の業務をしない薬局は、調剤基本料を半分に減らされる。
どこの病院にかかっても、
家の近くで、いつも行かれる薬局で薬をもらうようにしてください、ということだ。
門前薬局は調剤基本料を引き下げられることになった。
門前薬局は過剰投与の温床になっているという。

しかし、今回は、かかりつけ薬局と薬剤師に、24時間の対応を求めている。
これではかかりつけになりたい、と思う薬剤師はいないと思われる。
昔「24時間働けますか?」と言うCMがあったけど、働けないよね。
さらに、患者は、かかりつけ薬剤師に対して「指導料」として、210円の負担が必要になる。
かかりつけでない場合の指導料は114~150円なので、
この100円を患者に負担させるのは、制度を台無しにするだけだと思う。

また今回は、大きい病院が重大な病気の患者に専念するために、
紹介状のない患者からは5000円以上を徴収することを義務化した。
地域の診療所で手に負えない患者を診ることが、大きい病院の仕事、ということです。
私は先日、日医大で、紹介状がなかったので5400円払いました。
突発性難聴だったのですが、
近所の医院が変だったのと、カルテのある都立病院で、
大学病院へ行くように言われたので、これはしょうがないです。

国の方針は、高齢者が在宅でなんとかやってもらおう、というもので、
全ての改革がこの考え方を基本としています。
日医大の入院患者さんも高齢者ばかりで、もう手一杯という感じです。
高齢者で高度医療が施せる大きい病院がいっぱいになってしまって、
若い人が高度な医療を受けることが難しくなる、
という時代がくるのではないか、と心配しています。
(もうすでにそうなりはじめていますが)

東京のように、大きい病院がたくさんあってもこれです。
うちから30分以内ですぐに思いつくだけでも、有名な大きい病院が5つあります。
私は紹介状が無い人は5千円払う、というのは賛成です。
近所のクリニックで済む人は、大きい病院へ行くべきではない、と思います。
こういうことは、政府がテレビでCMを流して周知する必要があると思います。

関連記事:かかりつけ医ってなんだ
http://unyunenemama.blogspot.jp/2015/08/blog-post.html
関連記事:逆紹介ってなんだ
(大きい病院がパンクしないために、すすめられている制度ですが、
 患者がみんな大きい病院にしがみついているので、なかなか進まないのが現状です)
http://unyunenemama.blogspot.jp/2015/08/blog-post_19.html

0 件のコメント: