実はそういう学問を教えている大学はないそうです。
ですから、通称のようなものでしょう。
患者の声を医療に生かす、ということです。
こちらには、田中先生の患者学の講演が書かれたサイトがあります。
http://www.ritsumeihuman.com/hsrc/resource/07/open_research07_059-088.pdf
田中先生は、白血病の患者の会を自ら立ち上げた方です。
その当時は、医者が患者の会を主催するというのに抵抗があったようで、
誤解を招かないために、公的な団体ということでNPOとしたそうです。
田中先生はアメリカに留学した時に、日本の患者さんと
メールで無料相談をはじめたそうです。
400人7000通をやり取りしたと言います。
メールの内容は、診療についてのセカンドオピニオンは1割程度で、
ほとんどが患者会のことや単なるおしゃべりだったそうです。
しかし患者さんにとっては頼もしいおしゃべり相手だったことでしょう。
これが田中先生の患者会の活動だった、と言います。
なんか面白い先生ですね。
患者会のはじめは、先生と患者の大学生2人だったそうです。
(彼はその後医学部に入ったそうです)
で、「何からはじめようか」と話した結果。
「集まって、ご飯でも食べて、少し話したらいいんじゃないか」ということになったそうです。
もともと白血病は入院期間が半年や1年と長いので、
病室でみんな仲良くなってしまうのだそうです。
それでこの患者会には会員名簿すらないそうです。
田中先生は、患者さんとよく「なんで死にたくないんだろう」と話し合うそうです。
病院で働いている人にはわからないのだそうです。
患者さんたちの気持ちの中には「忘れられたくない」
という思いがあるのではないか、と言います。
他にも、家族が心配とかいろいろあるそうですが・・・
また、患者さんは、思いを溜め込んでいることが多い、と言います。
言いたいことを先生に言えないのです。
看護婦さんは、自分には言ってくれますよ、というそうですが、
やっぱり言えてはいないそうです。
それで帰りに受付でぶちまけてしまったりするそうです。
これをどの医師にでも言えるようにしたい、と先生は言います。
患者会の重要なところは、患者の中から作り出したことばを伝える、
ということなのだそうです。
そうじゃないと、本当の気持ちが伝わらないのです。
こうでしょ、と言われて、そうですね、と言っていては何も伝わらない。
アンケートに丸をするだけでは足りないのです。
アンケートには、向こうが決めた言葉しか書かれていないのですから。
田中先生はこうも言っています。
「研究者の人が、患者さんの中にワイ
ワイ入って、
何も目的を持たずに入って一緒に遊んでいると、
「あれ? 先生たちが言っていることと、患者さんたち言っていること違いますね」
とい
うことで、
「そうなんだよ、理解してもらえないんだよ」
というところから
始まるのではないかというふうに思います」
ここを読んで思ったのですが、前回紹介した患者さんのブログには
たくさんのコメントが書かれていました。
みんな、ある医師に宛てたものなのですが、
その先生は患者学に興味がある、と書いていました。
きっとその先生は上に書いたような気持ちだったのだろう、と思います。
「ねえ先生、一緒に患者会やろうよ」
という人がいたら面白かったのに、と思います。
(上に貼ったサイトを読んでいただければわかります)
この先生が田中先生みたいに、変わった人かどうかはわかりませんが。
アメリカのNTMのサイトには「医師と信頼関係をもつことがこの病気には重要です」
と書かれています。
田中先生は私の行っている病院にいたようです、
なんかすごく親近感をもってしまいました。
うちの子は近所の絵画教室に通っていたのですが、
ここの先生が変わっていて、自分でも変人だと言っていました。
池田先生というのですが「先生と呼ぶな、池田と呼べ」と言うのです。
その時は、ホントに変人だな、としか思わなかったのですが、
今思うと「先生」と呼ぶと、それだけで、生徒と距離ができてしまう、ということを
この人は知っていたのだと思いました。
本当に人気のある、みんなに愛されている先生でした。
今では6~7人の生徒が、武蔵野美術大学で教師をしているそうです。
今でも銀座の個展には毎年遊びに行っています。
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