認知症の人を見分けるのは難しいです。
始めは普通の人だと思っていた人が認知症だった、
ということが多く、結果、老人ホームの人のほとんどが普通ではなかった、
というかんじです。
厚労省の調査でも、介護をうけている老人の半数は認知症の影響がでていて、
施設の老人では8割が認知症の疑いがあるそうです。
なぜ見分けがつかいないのか、というと、
しゃべり方はおかしくないのです。たとえば、
「あの、すいません、私今日はなにも食べていないので、
おなかすいてしまったのですけど、何か食べる物はないかしら」
と言うお婆さん。
この人は1時間前に昼食を食べたばかり、もちろん朝食も完食しています。
こういう人には「あと30分でお食事が用意できます」と言うのです。
もちろん食事の用意なんてありません。
でも大丈夫。
5分後には今の会話をすっかり忘れています。
また、「ここには、変なこと言う人が多いわね」と言うお婆さん。
確かに、この人の隣は認知症の人が座っています。
私はこの人も最初はまともなのかと思っていました。
「私は都営住宅に住んでいて、なんでも自分でできるのに、
なんでこんな所に来てるのかしら」と言います。
しかし、この人は老人ホームに住んでいます。
私は認知症の人は、見ればわかるのかと思っていたので、
普通の人のように話す認知症患者に驚きました。
かなり重度の認知症でも、一見普通の人のように話ができるのです。
しかし、毎日「私ここは初めてだから、よくわからなくてね」
と言います。
かなり重度になると、どうやって立ち上がるのか、
どうやって歩くのかも忘れてしまいます。
本当に哀れなものです。
60歳以上の人と接する時は、一応認知症を頭に入れておくといいと思います。
認知症の人も普通に会話ができるのです。
真面目に話を聞いていたら、全部嘘だった、
なんてことになりかねません。
老人ホームの人は、みんな認知症だと思っていれば間違いないです。
私は介護の資格をとる勉強をしているのですが。
その中に、認知症と診断された家族の心理の変化、というのがあります。
第一期・・・医師から認知症の診断をされた時
ショック、戸惑い、不安から「この人は認知症ではない」
と認知症の事実を否定する
第二期・・・ある程度落ち着いて今の状況を見つめることができるようになる。
しかしまだ混乱していて、認知症を認めたくない。
今後の事を考えはじめる
第三期・・・医師の診断を受け入れ、あきらめ、現実を受け入れる。
なんとか介護しなければ、と意欲がわく。
第四期・・・認知症という現実を積極的に受け止めようとする。
認知症の正しい知識を得て、適切な対応を工夫するようになる。
認知症を家で介護したら、それはそれは大変なことだと思います。
暴れるような症状だと、精神科の施設に入院させるしかありません。
鍵のかかった病室があり、ある程度の拘束ができるのは、
今ではそこしかないからです。
今は法律で、ベッドにつないだり、つなぎを着せたり、
部屋の外から鍵をかけることも虐待になるのでできません。
この法律のせいで、行き場のなくなった老人も多いことでしょう。
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