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2012年8月30日木曜日

釜石の奇跡、津波で生き残るために

NHKで放送された「震災みらい学校」ここで紹介された「釜石の奇跡」

東日本大震災の時、184人全員が津波から生き残った釜石小学校
この小学校で津波からの避難方法の指導をしてきたのが
群馬大学 片田敏孝先生だ
片田先生は、8年前から独自の教育プログラムを作って
津波から住民を守る研究と、指導をしてきた
この奇跡について、片田先生は
「実際に釜石で1000人以上の死者を出してしまったので、失敗ですね」
と、この奇跡を自慢するどころか、悔しがってさえいる。
ひとり残らず助ける、が先生の目標だからだ。

この「釜石の奇跡」を、当のこども達は冷静に見ていて
「これは日頃の訓練の成果です、実力です、奇跡ではなく実績です」
「奇跡じゃないと思う、僕達は何度も避難訓練をしてきたんです」
と口々に言う。

子供達はどんな指導を受けていたのだろう
=避難の3原則=
 ・想定にとらわれるな
 ・最善をつくせ
 ・率先者たれ

番組の冒頭では、和歌山県の中学生に対する、片田先生の授業を取材した。
和歌山では、3月11日にはなにも被害はなかった
それでも当時、太平洋沿岸には大津波警報が出ていた。
「3月11日、避難した人?」という問いかけに
高台に避難をしたのは、クラスでひとりだけだった。
「逃げなかった人は、どうして逃げなかったのかな」
という問いに、「近所の人が、大丈夫だって言ったから」
「親が避難しなかったから」

そして役所から発表されている、ハザードマップと
生徒の自宅を地図で重ねると、先生はある生徒に容赦なくこう言った。
「君の家は、危ないね、避難しなかったら、死んじゃうよ」

何度津波警報が出ても、今まで被害が出ることはなかった
人間は大丈夫な事が続くと、逃げなくなるという
ちゃんと逃げることのできる自分を作っていくことが大事だ
敵は、逃げない自分なのだ。
わかっていても逃げられない自分との闘いだ。
日頃よく鳴る非常ベル、わかっていても逃げなくなる
人は死んでいく自分をイメージできないのだ
自分だけは大丈夫、と思うのである。

そこで、避難の3原則が必要になる
1.想定にとらわれるな 2.最善をつくせ
  ハザードマップを信じるな、ということだ
  ここは大丈夫になっているから、ここに避難すれば大丈夫だ
  と思わない、とにかく逃げる。
  実際に釜石では、避難所に一回避難したが
  ある中学生のひとことで、もっと高い所に逃げることになった。
  「もっと高い所に行った方がいい」中学生の言葉を大人が無視しなかったおかげで
  みんなが助かった、逃げる人々を津波が追いかけた。
  はじめに逃げた避難所では助からなかった。

3.率先者たれ  
  おとな達は足がすくんで、逃げられない人もいたという
  避難訓練を積んだこどもの「逃げよう」の声で我に返ったという。
  先生が校庭に子供をならばせていた、大川小学校はほとんどのこどもが犠牲になった
  釜石小学校では、地震直後、子供が自分の判断で
  すぐに走り出していた。
  教頭がマイクを持った時には、すでに校庭をこどもが走っていた
  中学生は、途中で保育園児を見つけて手を引いた
  おとな達に「早く逃げよう」と声をかけた
  早く、早く、とにかく走った。
  

しかし、ここで大切なのは、走るのをやめてはいけない、ということだ
たとえ誰かを助けるためであってもだ。
東北には昔からの「津波でんでんこ」の教えがある
「てんでんこ」とはてんでんばらばら、と言う意味だという
地震があったら、みんなで集まる時間はない
誰かを迎えに行く時間もない
逃げたがらない人を、説得している時間もない

=とにかく、自分を守りなさい、と言う教えなのだ=

子供は「お母さんはきっと逃げてる」と信じて、自分を守るために逃げなさい
親は「あの子はきっと逃げて助かってる」と信じて逃げなさい
と片田先生も教えている
そうすれば、誰かを助けるために、誰かか犠牲になることがなくなるからだ。

日本人には受け入れがたい、きびしい教えだ
誰かを助けるために犠牲になってはいけない、というのだから。
とにかく自分が生き延びろ、と教えている
きれいごと優先のテレビでは伝えられない内容だ。

日本人は人の顔色を見る傾向が強い
自分の判断だけで、すぐに逃げることができる人は少ないと思われる
だから、日頃の訓練が大事になってくる

3.11の前は誰も見向きもしなかった片田先生の取り組みに
今日本中が注目している。

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