それは抗生物質に耐性を作りにくくするためです
耐性ができると、薬が効かなくなります、つまり治らなくなります
非結核性抗酸菌症と、結核は病気も治療法も似ているので
研究の多い、結核で調べてみました
いかなる抗生物質でも、1種類だけでの治療では少量の耐性変異菌が生き残ることになる
ほとんどの感染症では、少数の病原菌が生存していても、免疫防御がこれらの残った
細菌を除去するので、問題にならない
しかし、感受性のある菌が抑えられている時は
病気の維持に必要な菌の数はごくわずか(100個未満)なので
生き残った菌がごくわずかであっても、病気を治すことは難しく
結核にとって、菌が残ってしまうというのは重大な問題だ
そこで、複数の薬を同時に飲むことになる
ある細菌が、複数の薬剤に対して、同時に耐性をつけるというような突然変異が
自然界でおこる可能性はほとんどないからだ
しかし、いくつもの薬に対して、耐性を持った菌ができるのはどうしてなのか。
まず1種類の薬で治療したために耐性菌が発生してしまう、そこで次は
違う薬を使って治療する、するとその薬に対しても耐性ができる
このようにして、いくつもの薬に耐性のある菌ができるのです
これが多剤耐性菌と言って、どんな抗生物質を使っても治らない菌の問題となっています
http://merckmanual.jp/mmpej/sec14/ch179/ch179b.html
ですから、3種類の抗生物質を飲めば、絶対耐性が出来ない、とも言い切れないが
最大限の予防措置をとるために3種類飲むのです
耐性菌の問題は、個人の問題だけではなく
世界の、人類の問題だからです
非結核性抗酸菌症の特効薬は、マクロライド系抗生物質、クラリスロマイシンです
マクロライド系は、抗酸菌の作るバリアを壊す作用があり
今一番効く薬と言われています
だったら、クラリスロマイシンだけ飲めばいいのでは?と安易に考えてはいけません
2.3ヶ月で耐性ができてしまう、という研究があります
この特効薬が効かなくなると、治療はとても難しくなります
じゃあ、同じマクロライド系のほかの抗生物質を使えばいいんじゃないか、と思いますが
薬のグループが同じということは、薬の構成も同じなので
同じグループのほかの抗生物質にも同じように耐性を持ってしまうことを
交差耐性といいます
非結核性抗酸菌症の耐性菌が広まってしまったら・・・考えたくないですね
ドイツ語、韓国語、英語などの複数のサイトには
NTMの治療に、マクロライド単独療法はするべきではない、と書かれています
これはクラリスロマイシンだけで治療する、というものです
マクロライド単独療法は、マクロライド耐性を作る、遺伝子変異に関与しているので
避けるべきだ、と海外では耐性に対する危機感が感じられます
しかし、このような記述が多々見られるということは
このような治療をする人がいる、ということです
薬が多い、つまり治療費が高い、というのがその原因です
日本のように、保健でカバーされて、安く治療ができる、という国は少ないのです
遺伝子変異に関して詳しくはこちらに書かれています
http://translate.googleusercontent.com/translate_c?depth=1&hl=ja&prev=/search%3Fq%3DThe%2Bability%2Bto%2Bbe%2Bresistant%2Bto%2Bclarithromycin,%2Balso%2Bmacrolide%2Bantibiotics%2Bother%2B%2BNot%2Bworking%2Bof%26biw%3D1093%26bih%3D515&rurl=translate.google.co.jp&sl=en&u=http://cid.oxfordjournals.org/content/34/4/482.full&usg=ALkJrhhtIVt79mDI4SaKCwJaGW2L2eRftg
しかし、これは将来的に、非結核性抗酸菌症が不治の病になるということです
こんなに薬を飲んでも、治すことが難しい病気が
こんだけ薬を飲んでも治らない病気になってしまうというです
耐性のできない抗生物質の研究も進んでいて、いくつか発表されていますが
実用化はまだ遠いようです
関連記事:新しい抗生物質Sirturo全世界で耐性結核菌治療に
http://unyunenemama.blogspot.jp/2014/03/sirturo.html
関連記事;新しい抗生物質、日本の製薬会社が作ったデラマニド
http://unyunenemama.blogspot.jp/2014/01/blog-post_3777.html
関連記事:抗生物質は何からできてる?(クラリスロマイシン)
http://unyunenemama.blogspot.jp/2014/01/blog-post_9.html