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2020年6月19日金曜日

アルコール性認知症

酒の飲みすぎでアルコール中毒になることは知られていますが、
過度の飲酒で認知症になることは知られていません。
肝臓の数値は飲酒をやめることで、ある程度は改善されますが、
アルコールによる脳の損傷は決して回復することはありません。
これは高校の授業で必修にするべきです。
違法薬物の害は学校の授業で教えますので、みんな知っています。
ほとんどの子どもはその怖ろしさを知り、手を出すことはないでしょう。
ここにアルコールも加えるべきです。
アルコールが身近であるがゆえの恐怖を子どもに知らせるべきでしょう。
ほとんどの子どもの飲酒は、親が飲ませる、ということです。

アルコール性認知症の患者はよく「もう飲んでいません」と言うそうです。
しかし脳の画像で、脳が萎縮しているのですぐにわかります。
このような患者はすでに他の疾患で飲酒をする元気もなくなっています。

アルコールが害を与えるのは肝臓だけ、という常識は誰が教えこんだのでしょう。
アルコールは脳に直接影響を与え、脳の機能に影響を与えるのです。
そんなことみなさん実感しているはずなのに、
お酒はコーヒーのようなものだ、という刷り込みをされています。
お酒を飲むのがカッコいい、という洗脳までされています。
日本人は世界の中でも特にお酒を分解する能力が低く、
無理をして飲んでいる人も多いはずです。
酒にお金を浪費する結果、食事の質が低下し、さらに認知症のリスクが高まります。

アルコール性認知症は、いったん発症すると元に戻すことは難しいです。
症状はアルツハイマー型認知症と同じですから。
ウェルニッケ脳症とコルサコフ精神病を発症します。
ウェルニッケ脳症の症状は、まぶたが垂れる、目の動きがおかしい、
見当識障害(時間や場所がわからなくなる)錯乱などです。
これを治療しないでおくと、昏睡状態になり死亡することもあります。
コルサコフ精神病では、記憶喪失、新しいことが学べない、幻覚などです。
そのほかアルコール依存症の症状もおこるため、
衝動的な行動、集中できない、感情を制御できない、何度も繰り返すなどです。

始まりは、短期記憶の傷害です。
短期記憶とは、さっきのことを覚えていない状態です。
この症状が悪化していきます。
治療法もあるので、早期ならば改善する例もあります。

アルコールでの認知症患者なんて身近にいないし、聞いたこともない、
という人がほとんどでしょう。
しかし、病名がつかなかっただけで、実は身近にいたかもしれません。
お酒を止めたのに暴力的な人などもその可能性があります。
老年期であれば、アルコール性を疑わずに、普通に認知症と診断されるかもしれません。

アルコール性認知症患者は、その他の認知症を誘発することも知られています。
フランスの研究では、アルコール依存症は若年タイプの認知症の最も重要な
危険因子である、とされています。

このような患者の介護は、家族にしてみれば地獄でしょう。
体も不自由で、認知症で、幻覚が見えたり、うつだったりします。
暴力的な場合もあるし、行動を自分で制御できない人もいます。
治療としては、おとなしくなるような精神科の薬がでます。
それでも手に負えない場合は、精神科に入院となります。
鉄格子のついた病棟に鍵をかけられてしまうのです。

知人が「私は酔うためにお酒を飲むの」と言っていましたが、
こういう人は危ないのだそうです、お酒を味わうのではなからです。
お酒は水で割ることもしないそうです。
彼女は介護職なので、認知症の人をたくさん見ていますので、
日頃から「私は長生きしたくないから」と言っています。
でも医療の進歩で、死なないで長生きする、という時代になっているのですが・・・

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