免疫力を高める薬が、実は前から薬局で売られていたのです。
アメリカ、バージニア・コモンウェル大学、マジーがんセンターの研究。
こちらの記事の題名は「がんの薬が、すでにあなたの薬箱に入っていた」です。
この市販薬が免疫力を高める、としてがんの治療に有効だといいます。
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-06/foas-itn063014.php
その市販薬とはアレルギーの原因ヒスタミンを抑える、花粉治療にも使われる薬です。
アレルギーとがんには関係があった、ということなのですが。
有効成分は「セチリジン」商品名(ジルテック)アレルギー用薬と
「シメチジン」商品名(タガメット)消化性潰瘍治療薬です。
「シメチジン」の胃腸薬は「パンシロンH2ベスト」「センロックエース」などが市販されていて、
http://www.gakuen-hospital.or.jp/yakuzai/kb/KB09.pdf
「セチリジン」の花粉薬は「ストナリニZ」「コンタック鼻炎Z」などが薬局で買えます。
http://www.gakuen-hospital.or.jp/yakuzai/kb/KB09.pdf
どちらもヒスタミンを抑える働きがあります。
なぜ、これらの薬が免疫力を高める、ということになったのでしょうか。
免疫力が高すぎると、自分の細胞を自分で壊してしまいます。
これを防ぐために、人体には、もともと免疫の働きを抑えるシステムがあります。
この働きをする細胞のひとつに「骨髄由来抑制細胞」(MDSCs)というものがあります。
この細胞は、免疫を担当するリンパ球、、マクロファージなどの働きを
おさえてしまいます。
そして最近の研究では、ヒスタミンがMDSCsの活動を活発にすることがわかりました。
つまり、ヒスタミンが免疫力を低下させているのです。
このヒスタミンを抑える薬が免疫力をあげる薬、ということです。
アレルギーの人は、そうでない人より、MDSCsが多いこともわかりました。
つまり、アレルギーをおこす原因のヒスタミンが多いアレルギー患者は、
免疫をおさえるMDSCsが多いのです。
がん細胞の中では、MDSCsが増えています。
これは、がん細胞がMDSCsを集めて、自分を攻撃する免疫から身を守っている、
と考えられています。
ヒスタミンがMDSCsを活発にしてしまうと、免疫力が落ちてがんが悪化してしまいます。
ヒスタミンががんを悪化させる、ということで、ヒスタミンをおさえる薬が
がんの治療に使われるようになりました。
それらの薬はすでに市販もされるほど一般的な薬だったのです。
薬は市販薬でも程度の差はあれ、副作用があります。
症状もないのに、薬を多用することはおすすめできません。
また、すでに薬を飲んでいる人は、医師にご相談ください。
また、花粉症、アレルギーの薬の全てが免疫力を上げる、という意味ではありません。
ヒスタミンを抑える他の薬では、これらの効果がなかった、という記述もありました。
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